大切にしている想い・約束

訪問診療(在宅医療)への思い

押し付けない医療、そして患者さんと共に選ぶ医療押し付けない医療、そして患者さんと共に選ぶ医療

  • 当院の診療方針として、「こうすれば良くなるんだ」という思いや知識があっても、それを患者さんへ押し付けることはしないと決めています。それを患者さんやそのご家族が望んでいるとは限らないからです。私たちの役割は、何か選択をしなければいけない時に、「こういう方法もある」「こういう選択をするとこういう事も考えられる」と言った、選びやすい状態を作るお手伝いをすることだと考えています。

    患者さんがどういうことを望むかによって、最適な医療をご提案します。ご自宅での療養には不安がある方もいますし、支えるご家族も不安がゼロであるとはいえません。

    訪問診療(在宅医療)への思い
  • 例えば、お薬を飲むことが難しい方には生活リズムや体調を考慮して薬を減らすということもあります。山のように出された薬を見ると、この量を毎日飲むのは大変だな...本当にそれを望んでいるのだろうか?と思うことがあります。薬は増やすのは簡単です。だけど、減らすことは勇気がいります。「もしも飲まなくなったら、悪くならないだろうか」「本当に減らして問題ないのだろうか」そのような不安に対して私たちは寄り添い、本人が納得する医療を提供することが大事だと考えています。それが、在宅医の仕事のうちの一つだと思うからです。

    病院から訪問診療へ切り替える時には、患者さんの体調だけでなく、ご自宅・毎日の生活・生き方をまるごと見る、そして支え、その人らしい過ごし方、生き方を実現できたらと思います。

    訪問診療(在宅医療)への思い
私たちの約束 ・必要最小限で最大の成果が得られることを常に探します ・必要に応じて専門家や多職種の意見を取り入れ、患者さんにとって良い選択を行います ・患者さんやご家族が本当に望むことかを丁寧に話し合い、納得のいく形を見つけます私たちの約束 ・必要最小限で最大の成果が得られることを常に探します ・必要に応じて専門家や多職種の意見を取り入れ、患者さんにとって良い選択を行います ・患者さんやご家族が本当に望むことかを丁寧に話し合い、納得のいく形を見つけます

Episode 「どうしたら家で死ねるのですか」Episode 「どうしたら家で死ねるのですか」

ある認知症のご夫婦が二人で支えあいながら、自宅での最期を望まれた時の言葉です。ある認知症のご夫婦が二人で支えあいながら、自宅での最期を望まれた時の言葉です。

90代のご夫婦でいわゆる「認認介護」状態でした。住み慣れた自宅で、親しい人がいる場所で、最期を迎えたい。支える息子さんからもその願いを叶えてあげたいとご相談いただきました。「どうしたら家で死ねるのか」という問いに「もしも、家で息を引き取ったら私が最期を看取りますよ」と伝えました。「そうですか。これで覚悟が決まりました」そう言って、お二人はこれからの毎日をどう過ごしていくか、私たちや多職種の方の意見を取り入れて決めていきました。
その後、デイサービスを利用したり、ヘルパーさんも入っていただきながら、ご夫婦二人の時間を過ごされ、最期を迎えました。

家で死にたい。だったら、それを実現するにはどうしたらよいか。自分たちは何ができるのか。人は覚悟が決まると、かなりのことは自宅でできるのだとお二人から教えていただいたように思います。

誰でも死はとても怖いものです。
私たちが患者さんやご家族からご相談をいただく時、皆さん不安を抱えています。私たちがまず最初に考えることは「どうしたら、それが実現できるか」ということです。できないから、わからないから…と諦めるのではなく、どういう選択をしたらどのような可能性があるのか、それを一緒に考えていくこと。このコミュニケーションが非常に重要だと思います。ときに医師としての立場であっても、訪問診療の世界では、わからないこともたくさんあります。ケアマネジャーさんや多職種の方の選択がベストなこともあります。私たちはそのことをよく理解して、お互いが連携をして、患者さんが常に間にいることを忘れず、患者さんやご家族が抱える死や病気に対する不安や怖さを医療だけでなく、言葉やコミュニケーションで少しでも減らせたらと思っています。

Episode 「どうしたら家で死ねるのですか」