久しぶりに肝臓関係の内容です.
今日はB型慢性肝炎の治療についてちょっと書きたいと思います.
B型肝炎とは肝臓に悪さをするB型肝炎ウイルスというのが身体に入ってきて,肝障害を引き起こす病気です.
ただ肝障害を引き起こすといっても,当初は痛くもかゆくもなく,ただ採血をすると肝機能の数値が悪いだけです.
じゃ,それを放っておいてもいいか.
いえ,そんなことはありません.そうこうしている間に徐々に病気が進行して,肝硬変になったり,肝癌になってしまったりする病気なのです.また,時には劇症肝炎という状態になり,命を落とすこともある病気なのです.


そんな病気ですが,B型慢性肝炎の治療はとても難しいです.
以前は,なかなか充分に効果を発揮できる治療方法が確立されていませんでした.
そんな中に「ラミブジン」(商品名:ゼフィックス)という薬が登場して,治療が画期的に進歩した感があります.
ただ,この「ラミブジン」という薬,ほとんど副作用もなく,よく効いてくれる薬なのですが,使っていくうちにだんだん,
耐性が出来てしまうという困った問題点があります(これはこの種類の薬にとっては切り離せない問題なんですけどね).
遅れて,この耐性が出現した後に使える薬「アデフォビル」(商品名:ヘプセラ)も登場して,さらに安心して治療が行なえてはいたのですが,現時点ではこの「アデフォビル」はラミブジンを飲んでいる人にしか日本では使えません.
そんな中,今月「エンテカビル」(商品名:バラクルード)という薬が使えるようになりました.
この薬は,「ラミブジン」と同じようにB型肝炎ウイルスを減らす薬なのですが,「ラミブジン」に較べて,耐性が出来る確率がとても低いのではないかといわれています.
今後の治療ががらっと変わるかもしれませんね.
こうやって日々,治療法は進んでいますので,なんとなく怖いななんて思っている,だけど病院には行っていないというB型肝炎の方,もしくはそのご家族の方,是非お近くの肝臓専門医の先生に相談してみてくださいね.