これまで、川崎市の検診では、「胃がん検診」はバリウムによる検査のみでした。
以前に僕は、うちのクリニックでバリウム検査をやらない理由というのを、ブログで書いたことがあります。
今、そのページがもうアップされていないので、以下にもう一度、書いておきます。
で、うちではバリウムをやっていないのですが、本日12月3日より、川崎市では、胃カメラによる「胃がん検診」がスタートすることになりました。
まあ、それはそれで、とてもいいことなのですが、ひとつ問題点があります。
うちでは、僕が一人で診療を行なっていることもあり、診察時間内に内視鏡検査をする余裕がなく、現在は診療スタートの9時までに、8時から、毎日2人分枠を取って検査をさせていただいております。
おかげさまで、近隣の先生方からのご紹介もあり、だいたい、現在検査予約は2週間待ちといったところでしょうか。
基本的には、胃腸症状があったりする方や、検診で引っかかった方の精査などの保険診療の胃カメラが中心なのです。
うちは検診専門クリニックではないので、やはりこういった患者さんの検査を優先させなければならないと考えています。
検診で、検査枠が埋まってしまい、本来の患者さんたちの検査がずっと後になってしまうというのは、うちの診療のスタンスからすると本末転倒になってしまいます。
よって検診による胃カメラの検査はその枠は作りますが、通常診療の胃カメラの枠よりもかなり少なくなります。申し訳ありませんが、当院での川崎市の検診による胃カメラ検査は、検査の日程が遅くなる可能性がありますので、ご理解の程、よろしくお願いします。
なお、バリウムによる胃がん検診は引き続き、行なっておりませんので、こちらもご了承ください。
この検診の窓口での自己負担額は、胃カメラ3000円、バリウム検査は2500円となります。また、検診に続いて、精密検査が必要になる場合は、別途負担額がかかります。
複雑になりますが、またご不明な点は、受付窓口でお問い合わせください。
————–過去のブログ内容————–
そめくりでは,市の健診,職場健診,一般健診などなど,各種の健診を引き受けています.
で,市の健診の追加項目の中に「胃バリウム検査」というものがあるのですが,消化器科を標榜しているそめくりで,
なぜかこのバリウム検査は実施されておりません.
今日は,この「なぜ」について書いてみようと思います.
そめくりで胃バリウム検査をやらない理由
・バリウム検査は,食道,胃,十二指腸の粘膜を観察することが出来るわけではありません.バリウムを使って粘膜の変形,隆起,などなどを間接的に見るものです.よって,健診で本来見つけるべきである早期胃がんなどはまず見つけることが出来ないと思っていいでしょう.なぜならば,早期胃がんというものは,粘膜がわずかにへこんでいるとか,さらにはちょっと色がまわりと違うとか,そんな変化しかありません.
・上記と同じ理由で,胃粘膜の色が変わってくる胃炎などはまずわかりません.同様に食道の早期がんはまずみつかりませんね.
・検査をする上での弊害を考えて見ましょう.
バリウムの検査は放射線を使って検査します.それもある程度の時間,放射線を当てっぱなしです.だいたい胸部X線撮影100回分くらいの放射線を一回で浴びることになります.
また,バリウムを飲むと,それが詰まって便秘になってしまうこともあります.
・じゃ,バリウム検査をやって,異常が見つかったら?
そのときは,結局診断をするために,内視鏡をやらないといけないのです.
などの理由があります.
もちろん,バリウム検査を専門にやっている先生からは批判の意見もあるでしょう.
ですが,このような理由を前提に,検診を含めて,バリウム検査は一切やっておりません.
食道,胃,十二指腸を検査するためには,内視鏡を行なっております.
ご理解のほどをよろしくお願いします.